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【2020/5/17:コロナ記事まとめ】溢れるCOVID-19治療薬候補、生き残るのはどれだ!【私見】

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 3月初旬頃から、COVID-19治療薬候補をたくさん取り上げてきました。

取り上げた以外にも続々と新たな治療薬候補が挙がってきており、インプットもアウトプットも追い付いていません。

 

そんな期待の候補化合物たちですが、

 みんな承認されて、

  みんな使われて、

   みんなハッピーな結末を迎える!

・・・と思いますか?

 

残念ながらそれはありえません。」

医薬品開発に従事する者として、これだけは断言できます。

「そんなに現実は綺麗ではありません。」

特効薬が出て、それが有効性・安全性に問題なければ、残りの多くの開発化合物たちは淘汰されます。

少なくとも同じ作用機序の系統は危ういでしょう。(使い分け可能な場合は除く)

特に感染症のように一過性の疾患については、売り上げ面からも撤退する化合物が出てくるはずです。

 

今日はこれまでご紹介してきた候補化合物をまとめつつ、独断と偏見で「将来性」を考えてみます

あくまで私の知識、経験、これまでの事例、そして「好み」から記載します。

この辺りの適当さは大手メディアにはできない、ブログの強みですよね!

 

今回は歯に衣着せぬ記載をしますが、その薬をその企業を否定しているわけではありません

もし読者のみなさまのお考えと異なることがありましたら、あくまで私の個人的な見解ということで流していただければと思います。

もしくはそのお考えをコメントなどに記載いただき、ディスカッションさせていただけると嬉しいです。

 

今後、情報がアップデートされたり、新規で取り上げる候補化合物が増えてくるようでしたら、この記事も更新していこうかなと思います。

 

 

 

レムデシビル(抗ウイルス薬)

概要

レムデシビルは抗ウイルス薬のパイオニアたるギリアドが創製した抗ウイルス薬

もとはエボラ出血熱に対する治療薬として開発されていましたが、今回COVID-19に効果があるのではないかということで、既に臨床試験実施までこぎつけています。

作用機序はRNAポリメラーゼの阻害によるウイルス増殖の抑制であり、広義で見ればアビガンと同じようなタイプです。

現在の状況

・NEJM(The New England Journal of Medicine)掲載論文にて有効性と安全性示唆

・ギリアドが日本を含む国際共同第3相治験を実施中、日本でも投与開始、4月中に重症例対象、5月中に中等症対象の試験結果が分かる見込み

・海外報道にて、ギリアドが現在実施中の臨床試験にて著明な効果があったとの報道

・中国の医師主導治験は登録症例数不足で中止

・NIH主導のプラセボ対照無作為化二重盲検試験にて主要評価項目達成

・ギリアドの重症例オープンラベル試験にて投与5日と10日で有意差なし(5日で効く)

・アメリカで緊急承認、日本で特例承認取得

記事まとめ

1.レムデシビルのP3試験開始、コロナウイルス(COVID-19)の特効薬になりえるか?シクレソニドは?(ギリアド) – るなの株と医療ニュースメモ

2.【コロナ】COVID-19治療薬候補、レムデシビル関する最新の論文を見てみよう! – るなの株と医療ニュースメモ

3.「レムデシビルの治験失敗報道の考察」と「実施中のGlobal P3試験の概要紹介」【COVID-19】 – るなの株と医療ニュースメモ

4.レムデシビルの臨床試験結果まとめと所感(ギリアド:重症例のオープンラベル試験) – るなの株と医療ニュースメモ

5.レムデシビルのプラセボ対照二重盲検試験結果まとめと所感(NIH) – るなの株と医療ニュースメモ

6.特例承認ってなに?なぜアビガンではなくレムデシビルなの?その妥当性は? – るなの株と医療ニュースメモ

7.【添付文書の読み方】レムデシビルを例に「医薬品の添付文書」を読み解いてみよう! – るなの株と医療ニュースメモ

 

今後について

抗ウイルス薬開発の世界トップクラスの企業たるギリアド社が総力を挙げて開発に取り組んでいます。

臨床研究のみならず、臨床試験でも良好な成績を上げており、危険な副作用もありません。

治験スピードも速く(海外は)、抗ウイルス薬としてはもっとも有望と考えます。

 

5/2追記

FDAがCOVID-19に対するギリアドのレムデシビルを緊急使用承認しました!

NIH(NIAID)のACT試験とギリアドのSIMPLE試験の結果に基づき、適応は入院中重症例(SpO2 94%以下で、酸素、人工呼吸器もしくはECMOが必要とされる場合)のみです。

中等症の試験が終われば、使える人も増えるでしょう!

取り敢えずはよかったですねー!

5/5追記

日本で特例承認手続きが進められるとのことです。

特例承認ってなに?なぜアビガンではなくレムデシビルなの?その妥当性は? – るなの株と医療ニュースメモ

 

5/8追記

無事に日本で特例承認されました!   

アビガン(抗ウイルス薬)

概要

富士フイルム子会社の富山化学が創製したインフルエンザ治療薬です

インフルエンザ治療薬として承認はされているものの、一般に流通しているお薬ではなく、ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル・イナビルのような普通のインフルエンザ治療薬)が効かないインフルエンザウイルスに感染した患者さん用のスーパーインフルエンザ治療薬になります。

 

作用機序はRNAポリメラーゼの阻害によるウイルス増殖の抑制であり、広義で見ればレムデシビルと同じようなタイプです

動物実験において、初期胚が上手く形成されなかったり催奇形性が確認されており、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと(禁忌)とされています。

この薬は精液中へも移行するので、男性も避妊が必要になります。

現在の状況

・アビガンの有効性を示唆する論文が理由不明で撤回された(考察は下記記事参照、なお再掲された模様です)

・日本においてアダプティブ,単盲検,ランダム化,多施設共同比較試験(P3試験)開始

・中国の臨床試験では効果がなかったとの結果も出ている。

・インフルエンザ用に備蓄があり、増産も決定している。富士フイルムの国内特許(物質)は2024年まで

記事まとめ

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今後について

日本発のお薬であり、インフルエンザ用に備蓄もあります。

当初は特効薬として騒がれ、実臨床においても著明な効果があったとの報告が多い中、根拠論文の撤回や臨床研究で効果がなかったとの報告もあり、やや先行きが不安でもあります。

日本における第3相試験はアダプティブデザインであり、中間解析も行われると思いますので、その動向に注目しています。

 

ただし中国が絡む政治的な理由やインフルエンザ備蓄用に切り札として取っておきたい事情もあり、広く使われるかどうかは疑問です(ここは大変個人的考えです)

催奇形性の副作用も、避妊すればいいじゃない?と考える方もおられるかもしれませんが、そうは簡単にいきません。

サリドマイドの薬害の件もあり、ここはだいぶ足を引っ張ると考えます

総合的に考えて承認はされるでしょうが、そこまでぽんぽこ使われないのでは?と思います。

 

 

シクレソニド(吸入ステロイド)

概要

2007年に承認された帝人の吸入ステロイドです。

つまり喘息のお薬になります。

長年使われており、安全性情報については懸念ありません。

国立感染症研究所の研究により、強い抗ウイルス活性が見いだされ、COVID-19患者に投与したところ、改善したとの症例報告が上がっています。

現在の状況

・COVID-19患者に投与したところ改善したとの症例報告あり

・日本感染症学会主導の観察研究が進行中

記事まとめ

レムデシビルのP3試験開始、コロナウイルス(COVID-19)の特効薬になりえるか?シクレソニドは?(ギリアド) – るなの株と医療ニュースメモ

※レムデシビルの記事のおまけとして、後ろのほうに記載あり

今後について

研究段階で効果が認められ、実臨床でも改善例がいたという「だけ」の状況です。

「COVID-19」の患者に「薬」を投与して改善が認められたとしても、その薬が「有効」であると考えるのは違います

それはたまたま効いただけかもしれません。

他の薬や治療の効果、自然治癒による軽快も含まれています。

その薬の効果を科学的に検証するためには、臨床試験を行う必要があります

その点、シクレソニドは他と比較して大きく遅れています。

将来的に適応外使用はされるかもしれませんが、治療薬として承認される可能性は低いと考えます。

 

カレトラ(抗ウイルス薬)

アッヴィの創製したHIV治療薬であり、ロピナビルとリトナビルの合剤になります。

記事では直接取り上げていませんが、臨床研究や臨床試験の対照薬として、こっそり登場しています。

現在の状況

In vitroやIn vivo試験において有効である可能性は示唆されていますが、中国で実施された臨床試験では有効性は見いだされていません

今後について

レムデシビルの臨床試験の対照薬として登場して、負けているぐらいですから、この薬が承認される可能性は低いと考えます。

 

アクテムラ(IL-6抗体)

概要

アクテムラは中外が開発したヒト化抗ヒトIL-6Rモノクローナル抗体です。

炎症性サイトカインのIL-6を抑制することで炎症を抑えます。

新型コロナウイルスで亡くなった方の主な要因はARDSであり、ARDSはサイトカインストーム(免疫過剰状態)が要因の一つです。

アクテムラはこの過剰な免疫を抑制することでARDSを防ぐと考えられています。

現在の状況

・中外製薬の親会社であるロシュがアメリカ、ヨーロッパ、カナダなどで第3相試験を開始しています

・国内では中外製薬が治験準備を進めています。

記事まとめ

免疫抑制しないの?アクテムラの新型コロナウイルスに対する効果を考えてみよう!(中外製薬) – るなの株と医療ニュースメモ

今後について

 抗ウイルス薬ではなく、過剰な免疫を抑えるという別の作用機序を持っています。

アビガンとの併用試験も進んでおります。

作用機序が異なるということは相乗効果も期待できるかもしれません。

臨床試験も進んでおり、承認までこぎつけるのではないかと考えています。

  

 

ナファモスタット(タンパク分解酵素阻害薬)

概要

ナファモスタットは急性膵炎、DICの治療薬です。

長年使用されており、安全性情報は十分であり、大した副作用もありません。

COVID-19に対しての作用機序としては、コロナウイルスの膜融合を阻害するとのこと。

現在の状況

まだまだ実験段階であり、臨床研究をこれから開始しようというところです。

記事まとめ

膵炎治療薬ナファモスタット、コロナウイルスに効くというけど、適応追加は難しい? – るなの株と医療ニュースメモ

今後について

実験段階で効果が確認されただけであり、臨床研究にも進んでいる段階ではありません。

アカデミアで効果があるとされた薬剤のうち、臨床試験にこぎつけて実際に承認されるケースはかなり稀です。

希少疾患で他に候補化合物がないのであれば、話は別ですが、すでに臨床試験に載っている化合物もある中で、まだ実験段階というのはかなり分が悪いと考えます。

よって、適応外使用はあれど、承認に至る可能性は低いと考えます。 

 

イベルメクチン(寄生虫治療薬)

概要

イベルメクチンは2002年に承認された寄生虫治療薬です。

静岡県の土壌細菌の単離物質をもとに半合成した薬物になります。

長年使用されており、安全性に問題はありません。

in vitro(動物実験前段階)でCOVID-19に対して効果が確認されております。

現在の状況

まだまだ実験段階であり、臨床研究をこれから開始しようというところです。

5/8追記

ユタ大学の臨床研究で良好な結果、北里大で治験実施の方向とのこと。

 

記事まとめ

どんな薬だっけ?新型コロナウイルスの次なる治療薬候補イベルメクチン、薬と研究報告の概要 – るなの株と医療ニュースメモ

今後について

in vitro時点で特効薬になりうると考えるのはかなり早計です。

この薬はHIVやデング熱に対しても効果があると、vitroの段階で示唆されていましたが、臨床試験で失敗しています。

またナファモスタット同様にまだ実験段階というのはかなり分が悪いと考えます。

よって承認までこぎつけるのは困難でしょう。

 

5/8追記

どうやら臨床研究で良好な結果が出て、治験が開始されるようです。
少し遅れてはいますが、有望かもしれませんね。

 

 

ヒドロキシクロロキン(抗マラリア/SLE治療薬)

概要

ヒドロキシクロロキンは1950年代に承認された古い薬です。

マラリアの薬で有名ですが、日本ではエリテマトーデスの薬として承認されています。

眼に関する重い副作用が有名です。

現在の状況

COVID-19に対しては効果が認められないとする論文結果があり、COVID-19に対する使用で43例の心臓系の副作用が確認されています。

ANSMによると、フランスでは3月27日以降、新型コロナ感染症患者への試験的な医薬品使用に関連した副作用の事例が約100例、亡くなった方が4例、さらに蘇生措置を講じた例が3例あったとのことです。

副作用が出た約82例は「深刻」で、その大半はヒドロキシクロロキンと抗HIV薬ロピナビル・リトナビルが半分ずつを占めていました。

記事まとめ

【コロナ】COVID-19治療薬候補、ヒドロキシクロロキンの論文を見てみよう!【効果は・・・】 – るなの株と医療ニュースメモ

【COVID-19】ヒドロキシクロロキンの心血管系の副作用について考えよう!【審査報告書】 – るなの株と医療ニュースメモ

今後について

現状を考えると有効性があまり認められていないにもかかわらず、副作用が強く出ています。

トランプさんは推し進めたいようですが、私はこの状況ではFDAが承認するとは到底思えません

FDAは有効性はもとより、安全性については結構こだわりますしね。

ただ国内では群馬大を中心として、ロピナビル、リトナビル、ヒドロキシクロロキンの3剤併用療法の臨床研究が進んでいます。

この結果は注視するべきかもしれません。

ただ私はちょっと懐疑的です。

 

TAK-888 

概要

武田薬品が開発中の免疫グロブリン製剤です。

血漿分画製剤は血液から作られる医薬品のことであり、その一種である免疫グロブリン製剤は抗体が含まれる製剤のことです。

TAK-888はコロナウイルスの特殊免疫グロブリン製剤でありTAK-888は回復患者の血液から得られた抗体を活用して作成します。

ウイルスに勝った人から、勝ち方を教わるのです。

現在の状況

 TAK-888は最短9か月で上市予定として開発が進められています。

アメリカのCSLベーリング等と協力して開発中です。

記事まとめ

回復患者の抗体を活用、血漿分画製剤TAK-888はコロナウイルス(COVID-19)を倒せるか?(武田薬品) – るなの株と医療ニュースメモ

今後について

武田さんはシャイアーを巨額買収し、名実ともに世界的企業となりました。

今回開発しているTAK-888はシャイアー買収の効果を示す上でも重要となる製剤だと思います。

だからというわけでは決してないですが、必ずやこの製剤の開発を成功させると考えています。

作用機序的にも他の薬剤とは異なりますので、競合しにくいと考えられます。

私は武田さんが予定通り、開発を進め、上市にこぎつけることを確信しております。

 

ワクチンについて

現在BCGワクチンとアンジェスのDNAワクチンについて取り上げています。

治療薬ではないので、本記事では紹介に留めます。

アンジェスについては、遺伝子治療薬のコラテジェンを上市した成功例はありますが、DNAワクチンについては実績がなく、増資を繰り返している会社でもあり、私はやや懐疑的です。

何とか成功してほしいところですが。。。

 

BCGは結核の抗体価の問題ではなく、エピジェネティックな免疫の変化が影響しているとか?

つまり仮に効果があったとしても、改めて打つ必要ないような。。。

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まとめ

現状(4/18)、私が生き残ると思う化合物は抗ウイルス薬「アビガン」「レムデシビル」、IL6抗体「アクテムラ」、血清製剤「TAK-888」です。

それぞれ用途が異なる薬剤になりえますので共存は可能かと思います。

アビガンについてはインフルエンザの備蓄や政治的背景、先発後発品等の事情を考えると、レムデシビルにとって代わられる可能性はあります。

ただ作用機序は同じ系統ですので、アビガンが効かない人にレムデシビルが効くということはあまりない可能性はあります。

こちらに関してはエビデンスもなく根拠はありませんので何とも言えません。

どちらとも生き残る可能性もあると思います。

 

こうやって振り返ると、だいぶコロナ関連の記事を書きましたね。

最近は記事を書いていない日でも、たまにアクセスが300行ったりすることもあり、弱小ブログとしては、コロナ関連の注目度に驚くばかりです。

治療薬について、一歩踏み込んで考える一助となっていましたら幸いです。

投資に活かせる方はぜひご活用ください。

私はいつも指をくわえてみているだけ。

もうそろそろ指をかみ切りそう!

 

おまけ:治療薬開発以外の社会貢献

打倒コロナに向けて、治療薬の開発に名乗りを上げる企業は注目されますが、治療薬開発に着手しないからといって、製薬会社としてダメな企業であるとは全く思いません

競合がひしめき、既存薬の適応拡大で早期承認を目指している中、化合物のスクリーニングから始めても徒労に終わる可能性もあります。

開発に着手することが製薬会社の唯一の社会貢献というわけではなく、大日本住友やアステラスのように、開発資金等を寄付している会社もあります。

マスクや防護服の寄付や提供を進めている会社もあります。

治療薬開発がどうしても注目を浴びますが、それ以外の動きについても見ていきたいと思います。