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COVID-19関連

どんな試験か見てみましょ?アビガンの国内第3相臨床試験開始、試験概要と用語の解説(富士フイルム)

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昨日は新型コロナウイルス感染症に対して、アビガン(ファビピラビル)の有効性を示唆する論文が撤回された話をしました。

今日は明るい話題ということで、日本で開始されたアビガンの第3相臨床試験の概要を簡単に解説していきます。

 

 

試験課題名

非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象としたファビピラビルの有効性及び安全性の検討-アダプティブ,単盲検,ランダム化,多施設共同比較試験(P3試験)

 

アダプティブデザインとは?

アダプティブデザインとは「臨床試験の途中で蓄積されているデータに基づいて臨床試験の妥当性を損なうことなく試験を変えていく手法」です。

恐らく数十例の結果が出た段階で、中間解析を行うはずです。

その結果をもって、試験デザインを変更していくのです。

 

このアダプティブデザインは試験期間の短縮や試験の成功確率を上げていくことができます。

しかし中間解析やその後の試験デザインの妥当性の判断が難しく、また試験自体が複雑となるため、実施する上での混乱にも注意を払う必要があります。

 

単盲検とは?

一般に患者さんがアビガンかプラセボかどちらを投与されているか分からない状態を指します。

患者さんの認識によるバイアスを低減できます。

(アビガンが投与されていたら効くかもしれない、副作用が出るかもしれないといった気持ちによる有効性や副作用のブレを減らせる)

 

ランダム化とは?

無作為にランダムに薬剤を割り付けるということです。

この人、効きそうだからアビガン投与しちゃう!はないということです。

 

 

試験概要

非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者に対して、肺炎の標準治療に加えアビガンを追加したときの治療効果が、追加しない場合に比べて上回ることを確認します。

アビガン群に割り付けられなかった人は、肺炎治療に加えてプラセボが投与されます。

 

目標症例数/期間

目標例数は96例、治験期間は2020年6月までとのことです。

各症例の観察期間は28日間です。

ただしアダプティブデザインですので、途中で変更がある場合があります。

目下症例エントリー中みたいですね!

 

用法/用量

用法・用量は、投与1日目のみ1回1800mg×2回、2日目以降は1回800mg×2回で、最長14日間、経口投与になります。

既にインフルエンザウイルス感染症を対象に承認されている用法・用量は、投与1日目は1回1600mg×2回、2日目以降は1回600mg×2回で、投与期間は5日間になります。

そのため、インフルエンザに使うよりも投与量、投与期間ともに増えるというわけです。

 

そうなると、安全性面が懸念されますが、

実は既に似たような試験が健常人対象に実施されています。

その時は投与1日目のみ1回1800mg×2回、2日目以降は1回800mg×2回で、投与期間は22日間でした。

この試験において、アビガンの安全性が確認されています。

また日本感染症学会の発出した「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方」でも、用法用量は投与1日目のみ1回1800mg×2回、2日目以降は1回800mg×2回で、最長14日間とされており、特段攻めすぎた内容にはなっていません

 

主要評価項目

主要評価項目は、体温、酸素飽和度、胸部画像所見の軽快、SARS-CoV-2が陰性化するまでの期間になります。

症状軽快後、48時間後に一定の間隔で2回のRT-PCR検査を実施し、「2回とも陰性だった患者」を抽出して、投与開始から1回目のRT-PCR検査で陰性が出るまでの期間をアビガン群とプラセボ群で比較するということです。

副次評価項目は、有害事象と7ポイントスケールによる患者状態推移となります。

 

主な選択基準/除外基準

選択基準

20-74歳、入院患者、RT-PCR陽性、胸部CTで肺病変あり、37.5℃以上の発熱あり、妊娠陰性

除外基準

37.5℃以上後10日以上経過、妊婦/妊娠可能性あり、重度の肝機能障害/腎機能障害

 

昨日挙げた撤回論文の問題点をクリアしている気がします

発熱の有無を選択基準に加えたり、経過日数を除外基準に加えたり。

何よりオープンラベルではないので、バイアスは減りますね。

単盲検ではありますが、オープンラベルよりましではあります。

 

妊娠可能性のある方を除外するのは、通常の試験でもだいたいそうですが、

アビガンには強力な副作用があるため、妊娠可能性のある方は厳禁になります!

 

重度の肝機能/腎機能障害を避けるのも、通常の試験と同様ですね。

薬物代謝/排泄に影響しますので、血中濃度がだいぶ変わってしまいます。

当然安全性にも影響が出ますので、避けるのが無難です。

 

なお酸素吸入が必要な患者は組み入れず、労作時のみ呼吸困難を呈する肺炎の患者のみを対象とするとありました。

これは重篤すぎる患者は安全性面で問題がある点もありますが、有効性面でも避けるべきと判断したのかもしれません。

 

 

まとめ

まだClinical governmentに治験情報が記載されていなかったので、現状入手しうる情報を簡単にまとめ、整理しました。

6月には終わるというスピード治験。

治験実施計画書の作成は当然として、機構との相談やIRB対応等、もろもろの手続きも含めて、各関係者の方々が迅速に動かれた結果だと思います。

アビガンについては様々な情報が飛び交っていますが、きちんとした内容の臨床試験を実施することが何よりのエビデンス構築となります。

 

日本が先陣を切って、COVID-19の打倒に貢献していければ最高ですね。

みんな頑張れ!

 

参考

治験情報

臨床試験情報詳細画面 | 一般財団法人日本医薬情報センター 臨床試験情報

今日はJAPICから引っ張ってきましたが、治験情報の収集方法については、機会があれば別の記事にします。

 

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