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免疫抑制しないの?アクテムラの新型コロナウイルスに対する効果を考えてみよう!(中外製薬)

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中外の抗リウマチ薬アクテムラが新型コロナウイルスに対して効果があるかもしれないとして、国内で治験が開始されました。

多少知識のある人はなんでアクテムラが肺炎に効くの?と思わるかもしれません。

今日はそんなアクテムラの作用機序や新型コロナウイルスに対する薬理作用について、考えてみます。

治験の概要についてはまた進展がありましたら取り上げたいと思います。

 

目次

 

要約

・アクテムラは中外が開発したヒト化抗ヒトIL-6Rモノクローナル抗体

・炎症性サイトカインのIL-6を抑制することで炎症を抑える

・新型コロナウイルスで亡くなった方の主な要因はARDS

・ARDSはサイトカインストーム(免疫過剰状態)が要因の一つ

・アクテムラは過剰な免疫を抑制することでARDSを防ぐと考えられる。

 

 

アクテムラ(トシリズマブ)とは?

アクテムラは中外の開発した「ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体」です。

国際誕生日は2005年と結構昔のお薬になります。

いまや一般的となった「抗体医薬品の先駆者」とも言える偉大なお薬なのです。

ちなみにチャイニーズハムスターの卵巣細胞を使って製造されているのですよ。

なお抗体医薬品のため分子が大きく飲み薬にはできませんので、注射での投与となります。

 

開発の経緯

開発の経緯について見ていく前に、まずIL-6について復習しましょう

 

IL-6 はB 細胞を抗体産生細胞に分化誘導する因子として発見されました。

IL-6 は、炎症反応、種々の細胞の分化誘導や増殖、免疫反応の調節あるいは血小板増多等、多様な生理作用を有しており、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病の病態に深く関わっていることが分かっています。

要は「IL-6は炎症に関与する物質」ということです。

 

つまり、リウマチ等の疾患において、IL-6の働きを阻害することができれば、症状の改善が見込めるのではないかと考えられたわけです。

そこでつくられたのが、IL-6の抗体であるアクテムラということです。

 

適応

適応は下記のとおりです。

<点滴静注用製剤>

○既存治療で効果不十分な下記疾患

関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、成人スチル病

○キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C 反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、

赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身けん怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。

○腫瘍特異的 T 細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群

 

<皮下注製剤>

○既存治療で効果不十分な下記疾患

関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

高安動脈炎、巨細胞性動脈炎

 

色々ありますが、リウマチのお薬として最も有名だと思います。

そしてサイトカイン放出症候群についても適応があることを記憶に留めておいてください。

 

名前の由来

act、effective に由来する」とのことです。

うーんシンプル系ですね!

ちなみに一般名でzumab(ズマブ)という名前がついているのは、ヒト化モノクローナル抗体製剤であることを指しています。

名前から抗体であることが分かるというのはこのためです。

 

 作用機序

上で記載したように炎症性サイトカインであるIL-6を阻害します。

もう少し真面目に記載するとIL-6レセプターのほうに作用して、IL-6がレセプターに結合するのを阻害することでIL-6の細胞内シグナル伝達を阻害するということです。

 

副作用

色々ありますが、列挙しているときりがないので、大事なところだけまとめます。

この薬剤は炎症性サイトカインを抑制するわけです。

炎症はつまるところ、免疫反応です。

つまり免疫抑制系の副作用が発現します。

 

アクテムラの安全性に関する項目に下記のような記載があります。

「本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。

本剤は IL-6 の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。

IL-6 は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応は抑制されるため、感染症に伴う症状が抑制される

そのため感染症の発見が遅れ、重篤化することがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。」

 

ん?重篤な肺炎?

・・・ん?コロナって肺炎では・・・?

何でこのアクテムラがコロナに使われるんだろう?

ということで、今回の新型コロナウイルスに対するお話に移ります。

 

 

新型コロナウイルスに対する薬理作用

なんか免疫抑えるし、重篤な肺炎に気をつけろとかあるけど、ということですが、コロナに対する薬理作用も同様にIL-6阻害を狙っています

シクレソニドやナファモスタット、イベルメクチンと異なり、既存の適応の作用機序と同様ということです。

 

肺炎が生じるときに過剰な免疫反応が見られ重篤化しているケースが考えられます

今回の新型コロナウイルス感染症により亡くなる方の主な原因はARDSになります。

ARDSとは急性呼吸窮迫症候群のことで、肺炎や敗血症などがきっかけとなって、重症の呼吸不全をきたす病態のことです。

 

このARDSがサイトカインストームによる免疫過剰が原因で生じる可能性が指摘されています。

武漢市における150名の解析では、IL-6の上昇が亡くなった方の割合と関連しているとの報告もあります。

 

 

つまるところ、アクテムラの新型コロナウイルスに対する効果は、抗ウイルス効果ではなく、過剰な免疫を抑制するということです。

 

この過剰な免疫を抑えるというところが重要です。

きちんと経過を観察し、コントロールしていけば、安全性に肺炎に関する注意があろうと、肺炎に使えないわけではないのです。

 

まとめ

アクテムラの作用機序を中心に、新型コロナウイルスに対する作用を考えてきました。

この薬はアビガンやレムデシビルのような抗ウイルス薬ではありません。

ナファモスタットやシクレソニドのようにウイルスに効くわけでもありません。

狙う作用は過剰な免疫の抑制なのです!

 

私のブログの読者さんの中には、過去にアクテムラが出てきたことを覚えておられる方もおられるかもしれません。

そうです!

アビガンとの併用試験が進んでいるのです。

これがなぜか、分かりますよね?

アビガンは抗ウイルス薬です。

つまり作用機序の異なるアクテムラと併用して相乗的な効果が見込めるというわけです。

 

ここで「今度は中外が噴き上げたりして(笑)」

とか言ってますね私。

はい、噴き上げましたね。

あの時は11,000円台だった。

 

分かっているなら買っておきなさい。

と思います(いつもの)

 

ともかく、アクテムラの作用機序から考えて、特効薬ではないと思いますが、効果は期待できると個人的には考えています。

アビガンとの併用も期待されるところです!

中外さんも頑張れ!!

 

参考

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について | 一般社団法人 日本リウマチ学会

【日本内科学会雑誌:緊急掲載】新型コロナウイルス感染症について | 日本内科学会 | 日本内科学会