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新規不眠症治療薬デエビゴの承認、ベルソムラとの作用機序や効果の違い、利点は?(エーザイ:4523)

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2019年末、エーザイの新規不眠症治療薬デエビゴがアメリカで承認されました。

2020年3月現在、日本でも承認されています。(後述)

作用機序はオレキシン受容体の拮抗薬で、この系統としてはベルソムラ(スボレキサント:2014年に発売)に引き続き2剤目となります。

 

目次

 

要約

・デエビゴはオレキシン受容体拮抗薬

・オレキシン受容体拮抗薬しては2剤目

・ベルソムラより「ノンレム睡眠の抑制に関与するオレキシン2受容体への阻害活性がより強い可能性」がある

・「12カ月間の安全性データと6カ月間の入眠と睡眠維持の両方の有効性データが確認された初めての薬剤」である

・利点:デエビゴは併用禁忌、高齢者に慎重投与の記載がない

・欠点:中等度以上の呼吸障害、軽症以上の肝機能障害、重度の腎障害に慎重投与の記載がある

 

 

作用機序:オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンとは、簡単に言うと脳内を興奮させる物質ですね。

そのオレキシンと拮抗(オレキシン受容体をブロックして、オレキシンの働きを抑える)することで、脳内を落ち着かせて、不眠を改善する作用があります。

従来の睡眠薬としては脳内の抑制系の伝達物質GABA(チョコで有名になりました)を増強させるものやメラトニン(時差ぼけで有名ですね)を増強させるものがあります。オレキシン受容体の拮抗薬は比較的新しい作用機序の薬剤になりますね。

ただ、この系統のファーストインクラス!というわけではなく、前述の通り、ベルソムラという薬剤が5年も前に出ています。今更似たような薬剤が出てきて、果たしてベルソムラにかなうのでしょうか。

 

抗がん剤等を除き、一般的に新薬の承認を得るための臨床試験はプラセボ(ただのお砂糖)を比較対象として実施されます。

ですので、類薬のベルソムラと直接戦ったデータはまだないのです。直接比較で勝つことができれば、それは非常に大きな武器になるわけですが、そのような臨床試験は非常に難しく、よほど革新的な作用機序でもない限り勝てません。(ちなみに武田さんは高血圧治療薬で類薬を直接倒すことに成功したことがあります。もちろん売り上げにも大いに貢献しました。さすが武田さん、開発戦略が非常に上手ですね。この話はまたいつか。)

まだデエビゴは発売もされていませんので、添付文書やインタビューフォームといった薬剤の情報も少ないですが、現在出ている情報から、ベルソムラに勝ちうる点を考えてみました。

 

 

ベルソムラとの違い

まず作用機序ですが、大まかな作用機序はオレキシン受容体拮抗薬ということでベルソムラと同じです。ただデエビゴは「ノンレム睡眠の抑制に関与するオレキシン2受容体への阻害活性がより強い」と言われています。

レム睡眠はRapid eye movement sleepのことで、睡眠が浅く目を閉じていても目がきょろきょろ動いている状態ですね。ノンレム睡眠は深い睡眠状態で目が動いていない状態です。デエビゴはこのノンレム睡眠に関する作用がより強く、より速やかな入眠や十分な睡眠維持をもたらすと考えられます。

 

臨床試験結果

次に臨床試験結果について見ていきましょう。

合計約2000人の不眠症の成人患者を対象にプラセボ対象とする二重盲検試験が実施されました。試験の愛称は「SUNRISE」、日の出ですね。不眠症治療薬の試験として考えると、なかなか良いセンスだと思いませんか?

結果としては、有効性の面では主観評価、客観評価ともに、入眠、睡眠維持、睡眠効率、中途覚醒時間等についてプラセボに対して有意に改善することが示されました。

 

また安全性の面では薬剤の投与を中止することにより投与前よりも強い不眠症状が現れる反跳性不眠は確認されず、投与中止後の離脱症状も見られませんでした。

更にふらつき、認知機能、自動車運転能力や呼吸器への影響等についても確認されましたが、問題となるような悪化はありませんでした。副作用としては傾眠(日中等に眠くなる)がありましたが、そこまで頻度は高くありません。(10mgで10%、5mgで7%、プラセボで1%)

 

これらの臨床試験結果を踏まえると、「12カ月間の安全性データと6カ月間の入眠と睡眠維持の両方の有効性データが確認された初めての薬剤である」ということができます。

ちなみに不眠症の適応の他、軽度、中等度アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中とのことです。

 

名前の由来

名前の由来は「Day(日中)+Vigor(活力)+Go(ready to go)」からです

夜は眠れるように。

そして日中・活力・ごー!

うん、わかりやすい!!

私は最後にGoがついているとは思いませんでした。

正直なくても名前としてはしっくりきますが、あえて由来にGoを入れてきた、エーザイさんの意図をくみ取ってあげたいですね。

 

まとめ

さて、エーザイの新規不眠症治療薬デエビゴについて考えてきました。

ベルソムラに勝ちうる点は、「オレキシン2受容体への阻害活性がより強い点」、「12カ月間の安全性データと6カ月間の入眠と睡眠維持の両方の有効性データが確認された初めての薬剤である」辺りでしょうか。

詳細なデータが出てくればもう少し比較しうる部分もあるかと思いますが、現時点においてベルソムラと比較して、劇的に良いかと言われるとそこまでかな?という印象です。

ベルソムラは入眠に対する作用が弱いとか悪夢が増えるという評判もありますので、そのあたりの使い勝手がベルソムラより良ければ、Dr.や患者さんからの支持も得られやすいかもしれませんね。いずれにせよ、患者さんの選択肢が増えることは良いことだと思います。

ただ日本で販売開始したとしても、エーザイの株価が爆騰するようなことはないような気がします。エーザイさんの株価はやはり認知症治療薬の動向次第といったところでしょうか。

 

追記:日本でも無事にデエビゴが承認

デエビゴは併用禁忌がないところや、高齢者に慎重投与の記載がないところはベルソムラより使いやすいところですが、中等度以上の呼吸障害、軽症以上の肝機能障害、重度の腎障害に慎重投与の記載があるところは、ベルソムラよりやや使い勝手の悪いところでしょうか。

 

参考:添付文書

デエビゴ

デエビゴ錠2.5mg/デエビゴ錠5mg/デエビゴ錠10mg

ベルソムラ

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg