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治らない疾患が治るように!C型肝炎治療薬の革命(ギリアド:ソバルディ・ハーボニー)

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ここ10年で医学界に革命をもたらした医薬品は何だと思いますか?

画期的な新薬はいくつも出ておりますが、「革命をもたらした」というと、少し古いですが、私はC型肝炎治療薬のソバルディとハーボニーを挙げます。

この薬はまさにこれまでの治療を過去にする強力な効果を有していたのです。

そして完治させることができなかったC型肝炎を治せるようにしたのです。

そんなソバルディとハーボニーについて、売り上げ推移等も含めて考えてみたいと思います。

  

C型肝炎の概要

C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染により起こる病気です。

HCVに感染すると約70%の人が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと進行する場合があります。慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の60%がHCV感染者であり、C型肝炎は肝臓疾患の代表的な原因であると考えられます。

肝臓疾患は自覚症状が少ないため気づきにくいですが、病気が進行するとだるさや疲れやすさ等の症状が出たり、黄疸(白目が黄色くなる)や、上腕の血管が浮き出たりすることもあります。

血液検査ではHCVの検査をすれば当然分かりますが、ASTやALT等の肝臓に関連する検査値の異常から、感染が疑われるケースもあります。

感染経路は血液感染です。注射針の使いまわしで感染した事例も過去にありました。

 

 

C型肝炎の治療

かつてはインターフェロンやリバビリンによる治療が一般的でした。

インターフェロンはサイトカインの一種で免疫や炎症に関連する物質であり、リバビリンは抗ウィルス薬ですね。しかし残念ながらこれまでの治療ではウィルスを駆逐することは難しく、C型肝炎は緩やかに悪化し、やがて肝硬変や肝がんに至るような病気でした。

しかしソバルディやハーボニーが販売されてから、この状況は劇的に変わります。かなりの症例においてウィルスを駆逐し、体内から排除することができるようになったのです。

 

現在の治療の主流はインターフェロンフリー(インターフェロンを使用しない)で抗ウィルス薬(ソバルディやハーボニー等)を併用する方法です。

治療は何通りかありますが、Dr.が患者さんに合わせて選択します。いずれも飲み薬だけを3-6か月ぐらい服薬する感じですね。

インターフェロンは太い注射で投与に痛みが伴い、しかも副作用も多かったので、飲み薬で副作用も少なく、効果も絶大な治療方法の登場は、患者さんのQOL改善に大きく貢献したのではないでしょうか。

 

この治療により、慢性肝炎から代償性肝硬変までの初回治療の場合、95%以上の人でウイルスを体内から駆逐することが可能となりました。

なお非代償性肝硬変や薬剤耐性ウィルスに感染している場合は、治療方法が異なったり、再治療が必要になるケースもあります。これらの状態に対する薬剤開発も進められておりますが、その紹介はまた別の機会にしたいと思います。

もし治療の詳細について気になる方がおられましたら、日本肝臓学会が出している「C型肝炎治療ガイドライン」をご参照頂ければと思います。(無料で閲覧できます)

  

患者の数、売り上げ、薬価の問題

これまでの治療を覆す画期的な新薬が登場したことで、C型肝炎の治療が劇的に変わりました。当然Dr.も画期的な新薬を患者さんのために処方をしたいと考えますので、それはそれはよく売れました。

そこで問題となったのがこれらの薬の薬価です。実はかなり高いのです。

(改定前で記載)

 ・ソバルディ:1錠61,799円

 ・ハーボニー:1錠80,171円

 ・コペガス(リバビリン)(参考):718円

文字通り、「けた違い」ですね。

 

次に売り上げ推移について見てみましょう。(ハーボニー)

 ・2015年:1176億円

 ・2016年:2960億円(下記に期毎の内訳)

   1~3月:1516億円

   4~6月:697億円

   7~9月:448億円

   10~12月:297億円

 ・2017年:618億円

 ・2018年:約230億円(63%減少)

2016年をピークに売り上げが急速に減少していますよね?

これはなぜでしょうか?

 

それは「治る患者が増えた」から、「患者数が減少して」薬が売れなくなったためです。

なんと素晴らしい理由でしょうか。

薬が売れなくなった理由でこれ以上の理由、私は思いつきません。

 

薬剤が売れると医療費が増大しますので、薬価を下げろと言ってくる人たちが一定数いますが、画期的な新薬は適切に評価頂きたいものです。

一時的な医療費は抑制できても、イノベーションの阻害は患者さんのためにはなりません

そんなことより、雨後の筍のように生えてきているジェネリック医薬品の質や価格の整備、せめて供給体制に不安がある医薬品の削除ぐらいはするべきでは?と思います。

 

まとめ

治せなかった疾患が治せるようになることって、本当にすごいことですよね!

医薬品の開発が前に進む限り、がんや認知症もいずれに治せるようになると私は確信しています。

私の父は数年前にC型肝炎が原因の肝臓がんで亡くなりましたが、薬が開発された頃には手遅れで、あと少し早く薬が開発されていれば助かっていたのかもしれないと思うことがあります。

だから「治せない疾患を治せるようにしたい!」というのが、私の入社時からの志です。

 

…が、掲げた志の大きさと現在の仕事への姿勢にギャップがあるのは認めざるを得ません。

もう少し気合い入れて仕事しなきゃ。

ちょっといい話っぽくまとめたのに、ずっこけた方すみません。