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アンジェスはだいじょぶ?新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの評価に関する考え方

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9/2にPMDAのワクチン等審査部が新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方を発表したと教えて頂きました。

 

2020 年 8 月時点の状況を踏まえた上で、国内での SARS-CoV-2 ワクチンの開発のために求められる有効性及び安全性の評価における考え方を提示しています。

 

今日はこの内容のうち臨床試験に関するものを簡単にまとめつつ、アンジェスの今後について所感を述べます。

 

目次

 

 

国内における臨床試験の重要性 

海外で発症予防効果を評価するための大規模な検証的臨床試験が実施される場合においても、

国内で臨床試験を実施し、日本人被験者においてワクチンの有効性及び安全性を検討することは「必要性が高い」と考えられています。

 

なぜでしょうか?


・SARS-CoV-2 については、COVID-19 の流行の程度が国・地域によって異なること

ウイルス株が地理的・時間的条件によって異なっていく可能性があること

・COVID-19 が重症化する患者の割合が国・地域によって大きく異なり、その背景については様々な検討がなされていること

 

上記を踏まえて、SARS-CoV-2 ワクチンのベネフィット・リスクの判断については、「各国・地域の状況によって異なる可能性があるためということです。

 

その他、民族的要因の差が SARS-CoV-2 ワクチンの有効性及び安全性に影響することも考えられます。

 

次に国内で主要な臨床試験を行っているワクチン(アンジェス等)海外で主要な臨床試験を行っているワクチン(Moderna等)に分けて、開発のポイントをまとめてみましょう。

 

 

国内開発型のワクチン候補の場合

用法・用量の選択

国内臨床試験の実施にあたっては、非臨床試験において検討した投与経路、投与量、投与回数及び投与間隔を踏まえて、複数の用法・用量を検討する必要があります。

 

これはいわゆる「普通」のことですね。

 

COVID-19 の発症予防効果と抗体価等との関連が解明されていない状況においては、SARSCoV-2 抗原特異的抗体価、中和抗体価等について、高い免疫応答が得られる接種経路、接種量、接種回数及び接種間隔を選択することが求められます。

 

接種量や接種回数は当然少ないほうがいいですね!

ワクチンの製造量は限られますし、回数が少なければ利便性も上がります。

 

もし複数回投与が必要な場合でも、短期間で免疫を獲得できるよう接種間隔は短い方が望ましいですね。

 

 

免疫原性の評価

免疫原性の評価(SARS-CoV-2 抗原特異的抗体価、中和抗体価、細胞性免疫、サイトカイン産生等)を主目的とする臨床試験においても、

観察期間中における COVID-19 発症に関する情報から探索的に有効性及び安全性を評価できる可能性を考慮し、

COVID-19 に関連する可能性がある症状等をあらかじめ想定し、適切に情報を収集する必要があるとしています。

 

特に述べることはありません。

 

 

有効性の評価

感染症予防ワクチンの有効性は、原則として発症予防効果を主要評価項目として評価を行うものであり、

COVID-19 の発症予防効果について代替となる評価指標が明らかになっていません

 

つまり、何か別の分かりやすい項目を持って、発症予防効果を示すことが現状はできないのです。

 

だから現状においては、原則として、SARS-CoV-2 ワクチン候補の有効性を評価するために、COVID19 の「発症予防効果を評価する臨床試験」を実施する必要があります。

 

その他の重要な評価項目として、ウイルス学的又は血清学的手法により確認される SARS-CoV-2 感染の他、動脈血酸素飽和度(SpO2)、酸素療法の要否、人工呼吸器又は ECMO による管理、亡くなった方の割合等の 「COVID-19 の重症度に関する項目の評価を行うことが想定される」としています。

  

海外で発症予防効果が確認された他の SARS-CoV-2 ワクチンが「国内で利用可能となった場合」

以降に臨床試験が実施される SARS-CoV-2 ワクチン候補については、有効性が確認された他の SARS-CoV-2 ワクチンを対照とした「比較臨床試験を実施する」ことで有効性を評価できる可能性があるとされています。

 

1つのワクチンが承認されれば、それが指標となりうるわけです。

 

 

代替エンドポイント

今後、他の SARS-CoV-2 ワクチンの臨床試験において発症予防効果が確認され、「発症予防効果に関連する免疫原性の指標が複数の試験で確認された場合」には、当該ワクチンの免疫原性の結果を参考にできる可能性があるとされています。

 

つまり、「発症予防効果を代替的に示すことができる指標が分かれば、それを代替指標として評価できるということ」です。

 

そうなると、開発予定の SARS-CoV-2 ワクチン候補について、非臨床試験における発症予防効果と国内臨床試験における免疫原性の確認により、有効性を評価することが可能かもしれないということです。

 

 

安全性の評価

有害事象については、SARS-CoV-2 ワクチン接種から少なくとも 7 日間に認められた特定の局所反応(腫脹、発赤、硬結、疼痛等)及び特定の全身反応(発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛等)、

少なくとも 28 日間に認められた有害事象を収集することが求められています。

 

SARS-CoV-2ワクチン候補の特性等に応じて、それ以上の適切な期間を設定することが必要な場合もあるとしています。

 

 

臨床試験中のフォローアップ

SARS-CoV-2 ワクチン接種後の長期的な有効性及び安全性に関する情報を収集するため、臨床試験において、少なくとも 1 年間のフォローアップを計画することが求められています。

 

SARS-CoV2 ワクチン候補の特性等に応じて、1 年以上の期間が必要な場合もあるとされています。


DNAワクチンについては発癌性リスク等も鑑みて、個人的には長期フォローしてほしい。

 

試験計画

臨床試験の評価項目等に基づき、SARS-CoV-2 ワクチン候補の有効性及び安全性を適切に評価できる被験者数を設定する必要があるとされています。


またLNP-mRNA ワクチン、DNA ワクチン、組換えウイルスワクチンといった新規性の高い技術を用いた SARS-CoV-2 ワクチン候補や、新規のアジュバントを用いた SARS-CoV-2 ワクチン候補については、臨床試験において特に慎重な安全性の評価が求められるとされています

アンジェスのDNAワクチンは当然この新規性が高い技術を用いたものに該当します!

よく分からない技術は特に慎重に臨床試験を行う必要があるのです。

症例数の設計や安全性の評価項目、評価期間もよく考えなければなりません。

 

 

またSARS-CoV-2 ワクチン候補接種後の SARS-CoV-2 の自然感染による抗体価上昇の影響の評価、ワクチン接種に係る安全性の評価、並びに COVID-19 の発症及び疾患増強のリスク評価のため、

原則として、対照(プラセボ等)群を設定したランダム化二重盲検比較試験とすることが必要であるとされています。

 

プラセボにおいても抗体価が上昇することがあるのです!

ワクチンだからと対照群を設けないのはダメですね

 

しかし、「原則として」か。

裏技を使う余地を残したな?

 

 

高齢者の評価

高齢者では COVID-19 罹患後に重症化するリスクが高いことを考慮して、成人(高齢者を除く)における接種経験が一定程度得られた後、できるだけ早期に高齢者を対象とした臨床試験を実施することが望ましいとされています。

 

高齢者に優先的にワクチンを接種させることは、理にかなっていますが、安全性面では本当は試験をした後のほうがよいのですが、実際はそうもいかないでしょうね。

 

また、後期の臨床試験においては、COVID-19 が重症化するリスクが高いと考えられる者(基礎疾患を有する者等)の組入れを検討することが望ましいとしています。

 

成人対象で試験が終わってから、高齢者やハイリスク群への試験を行う流れになるのでしょう。

 

 

小児における評価

小児については、成人での有効性及び安全性に関する情報が得られた後に、適切な臨床試験を計画し、実施することが望ましいとされています。

 

高齢者と同じく、あとで別途臨床試験を実施するべきということですね。
 

 

海外開発型のワクチン候補の場合

海外で開発が先行しているようなワクチンではどうでしょうか?

例えばModernaのRNAワクチンのようなケースですね!

 

海外で開発が先行し、海外で有効性及び安全性を評価する大規模な臨床試験が実施されている場合であっても、日本人における有効性及び安全性の確認のため、「原則として」国内において臨床試験を実施する必要があるとされています。

 

原則として」です!

・・・原則。

 

また抜け道があるのか。

含みを持たせたこの文章は、PMDAとしてのスタンスを示しつつも、状況に応じて対応可能であることを示していると思います。

 

初めから臨床試験しないでおっけー!というと、私みたいのがうるさいからでしょうか?(笑)

COVID-19の情勢や海外での使用状況等を踏まえて、流動的に対応する余地を残したのかもしれません。

 

上手いなと思います。

 

 

 用法・用量の選択

SARS-CoV-2 ワクチン候補の海外臨床試験が先行しており、海外で選択された用法・用量を国内臨床試験で用いることが適切と判断できる場合は、

用法・用量の選択のための国内臨床試験を新たに実施することなく、海外で選択された用法・用量を国内臨床試験で用いることが可能となります。

 

要は「用法用量はそのままスライドしても差し支えないということ」です。

 

 

有効性の評価

海外で発症予防効果を主要評価項目とした大規模な検証的臨床試験が実施される場合には、

国内で日本人における発症予防効果を評価することを目的とした検証的臨床試験を実施することなく、

日本人における免疫原性及び安全性を確認することを目的とした国内臨床試験を実施することで十分な場合があるとされています。

 

発症予防効果を目的としたグローバル開発(multiregional clinical trial)が計画されている場合には、日本から参画することによっても有効性を評価できる可能性があるとも記載があります。

 

要は「発症予防効果を主要評価とした海外試験が実施されている場合、そこに国際共同治験として日本が参加していればそれでよし、参加していなくとも免疫原性と安全性が国内臨床試験で確認できればよいということ」です。

 

国内で臨床試験をするにしても、ハードルはだいぶ下がるイメージです。

 

Modernaのワクチンはアメリカで成功すれば、日本での臨床試験は「原則として」の抜け道を行くのか、免疫原性と安全性の確認だけで済むのかもしれません。

もしかしたら。ね?

 

安全性やフォローアップは国内先行と同じです。

  

 

 

アンジェスに関する所感

さて、この項目は私の戯言です。

あまり参考にしないでください。

 

かのアンジェスですが、現在2つ目の第1/2相試験を行っていますね。

私は初めはアンジェスは第3相試験のスキップ(条件付き早期承認)を狙っていると考えていました

 

つまり、ちんたら第1/2相試験を行っていても、海外に後れを取っていても、アンジェスとしては勝算があると考えていたのかと思っていました。

 

なので、私は雑に扱いつつも、株価が落ちている現状において、いつも通りの株券印刷を行い、3桁まで落ちるようであれば、スキップを狙って勝負してもよいかとすこーし考えていました。

 

ただ今回のPMDAの見解を踏まえると、ちょっと分の悪いかけかと思います。

アンジェスは当然治験相談していますので、申請パッケージについてはすり合わせているはずです。

 

つまり今回の内容はアンジェス想定の範囲内であるはずです。

 

アンジェスは第3相試験をスキップする気がないのだと私は思います。

いや、スキップしたくても、スキップできないのだと。

まぁ原則という抜け道はなくはないですがね。

 

アンジェスが第3相試験をやっている間に海外ワクチンができる可能性は高いと考えています。

ただそのワクチンが国内臨床試験がどこまで必要かは分かりません。

海外で承認されても、国内ではすぐに使えないかもしれません。

 

でも、もし抜け道を使う場合や、免疫原性と安全性のみでよい場合は、そこまで手間をかけずとも国内で承認される可能性があります。

 

そんな中、アンジェスにかけるのは、個人的には分が悪すぎます。

 

まぁ、私の個人的な気持ちとして、アンジェスにかけて負けるのは、その選択をした私を、私が許せなくなります

 

だからやっぱりアンジェスは触らないに限る。

 

それに1つ目の第1/2相試験が終わったのに、「有効性が示唆された」ぐらいのIRを出さないのも気がかり

治験届でIR出したくらいだし、何か言ってきてもよさそうなのになーと。

ま、妄想ですけどね。妄想!

 

 

特例承認の可能性は?

制度の概要

5月のCOVID-19治療薬として、レムデシビルが特例承認を受けたのは記憶に新しいところだと思います。

では海外のワクチンは特例承認を受けられるのでしょうか?

 

特例承認制度とは「医薬品医療機器等法(薬機法)」の第14条の3第1項に定められている特別な制度です。

※たまに言われる薬事法という表現は古いです

 

疾病による健康被害の拡大を防ぐために、他国で販売されている日本国内未承認の新薬を、通常よりも簡略化された手続きで承認することができる仕組みです。

 

承認においては、薬事・食品衛生審議会の意見を確認することとなっています。

 

 

適応の条件

この制度が使える条件は下記の2点です。

1.国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがある場合、かつ当該医薬品以外に適当な方法がない

2.承認制度が日本と同等水準にある外国で承認・販売されている医薬品である

 

要は「非常に危機的な状況において、他に国内では手はないけど、海外にはあるのだ!」

という時に、特別おっけーしてあげる制度ということです。

 

 

特例承認を受けた医薬品

特例承認を受けた新薬の例としては下記のようなものがあります。

新型インフルエンザの輸入ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」

・「乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1“ノバルティス”筋注用」

2010年1月に承認されています。

 

これはいわゆるパンデミックを想定したワクチンの承認でした。

COVID-19のワクチンもこの特例承認を与える可能性も、上記抜け道を鑑みればなくはないでしょう。

 

ただしアビガンが特例承認を受けられないのと同じで、アンジェスのワクチンは特例承認を受けられません

だって海外で承認されてませんからね!

 

 

 

まとめ

今日はPMDAの資料を基に、COVID-19のワクチン開発について見てみました。

季節も廻り、冬の終わりに騒がれだしたのに、もう秋になってしまいました。

 

ワクチンの早期開発が望まれています。

しかしワクチンは多数の健常人に接種させるもの

有効性や安全性は十分気を遣わねばなりません。

 

下手なことをすれば、大変な事態が起こる可能性もあるのです。

承認を焦る気持ちはあるかもしれませんが、このことを決して忘れてはなりません。

 

※当ブログにおける見解は個人的見解であり、所属する企業の見解ではございません。また特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。