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「漢方薬は自然由来、天然由来だから副作用がない」の嘘

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先日、漢方薬は自然由来だから副作用がない!みたいなtweetが医療従事者から「ふるぼっこ」にされているのを見かけました。

私としても失笑を禁じ得ない内容ではありましたが、漢方薬には副作用がないといった認識は、意外と持たれている方も多いのではないかと思います。

 

今日は少し古めですが、2014年の漢方薬の副作用に関する論文や添付文書を見ながら、「漢方薬には副作用がない」の誤解を解いていきましょう

 

そもそも自然由来だから副作用がない、の時点で、

 

「は?じゃあ、ネギでもかじって寝てろ。」

 

ぐらいに激おこですが、とりあえず今日は落ち着いて、漢方薬の副作用について見ていきましょう。

 

私は反ワクチンや天然由来信仰が心底嫌いなので、本記事には多少攻撃的表現が含まれます。

予めご了承ください。

 

あ、既にありましたか?

ネギでも食べて温かくしてお休みくださいね♡

これでいいかしら?

 

 

目次

 

 

 

漢方薬の副作用に関する論文

参考:Jpn.J.Drug Inform.,16(1):16~22(2014)

 

この論文ではPMDAの医薬品副作用データベースにおいて、2004年4月~2013年2月までの約9年間のデータの中から、医療用の漢方製剤148種類が被疑薬として疑われる報告を調査しています。

 

その結果、合計1958件の副作用報告が得られています。

報告が多い順に並べると、芍薬甘草湯(312件)、防風通聖散(200件)、柴苓湯(131件)、抑肝散(93件)、乙字湯(73件)、半夏瀉心湯(60件)でした。

 

副作用の内訳としては肝胆道系障害が653件、呼吸器系の障害(主に間質性肺炎)が488件、代謝栄養障害(ほぼ低カリウム血症)が182件でした。

 

分母となる数は分かりませんので発生頻度は不明ですが、副作用がないというのはおかしい話というのはよくわかるかと思います。

 

ただ個別の症例について因果関係が精査されたものではないので、注意は必要ではあります。

 

この文献をもって、漢方薬が危ないというつもりは全くありません

 

今日の主題は「漢方薬は天然由来なので副作用がないという、天然な考え方の誤解を解きたい」だけです。

副作用がない!を解くだけなので、まぁこれでも十分かなと思ったりもしますが、添付文書も見てみましょう。

 

 

ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒の添付文書

有名なツムラの芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう:ツムラ68番)について見てみましょう。

ツムラ68番はシャクヤクとカンゾウという二つの生薬を配合した漢方薬です。

よく使われている漢方薬ですね!

 

副作用としては、副作用発現頻度調査(2013年10月~2014年9月)において、2,975例中、33 例(1.1%)37件に臨床検査値の異常を含む副作用が報告されたとのことです。

 

重めなものは下記のとおりです。

間質性肺炎 (頻度不明)

偽アルドステロン症 (頻度不明)

低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがある。

・ミオパチー (頻度不明)

低カリウム血症の結果として、ミオパチー、横紋筋融解症があらわれることがある

・うっ血性心不全、心室細動、心室頻拍(Torsades de Pointes を含む)(頻度不明)

肝機能障害、黄疸 (頻度不明)

 AST(GOT)、ALT(GPT)、AlP、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある

 

その他、軽微なものは下記のとおりです。

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添付文書は公的な文書ですので、嘘っぱちは載っていません

そこにちゃんと副作用について記載されていますね。

副作用がないなんていうのは嘘っぱちということですね。

 

 

西洋医学と漢方薬

漢方薬を西洋医学的に見れば、「複数の切れ味の微妙な有効成分が複数含まれており、切れ味は微妙だけどマイルドに効く」、そんなイメージを持っています。

だから際立った副作用が少ないと言えるのかもしれません。

 

でも漢方薬がダメだというつもりは、全くありません。

 

漢方薬は東洋医学的な考え方を別としても、現代医学においても活躍している「医薬品」なのです。

マイルドに効くというところは、西洋医学においても活用されているわけですね。

・参考:漢方薬の売り上げ

 

ただ、だからといって漢方薬をもてはやして、西洋医学における「医薬品」を否定するのは「全く」理解できません

 

そもそも西洋医学における医薬品の成り立ちとしては、

 

自然由来の有効成分の効果を高め、安全性をたかめるために、

自然由来の成分の中から、何が有効成分でどこに効果を及ぼしているかを特定し、

その有効成分のもととなる物質をあれこれ加工して、

副作用が少なく、より有効な成分を医薬品として開発してきたのです。

 

もちろん現代においては自然由来でないものをありますが、医薬品の歴史を紐解けば、天然由来成分の先鋭化というところが医薬品の根幹の一つとして存在していたことは、否定されないでしょう。

 

 

自然由来信仰と医薬品の否定

自然由来が素晴らしくて、人工合成がダメというのは、私にとっては医薬品そのものが否定されているようなものです。

砂粒一つの欠片ぽっちも理解できない考え方です。

 

寒気がします。

葛根湯でも飲みますかね?

心因性には効きませんかね。

 

人が現代社会に産まれおちる過程で、既に医薬品のお世話になっているわけです。

人が疾病に打ち勝ち、長く健康に生きられるようになったのは医薬品ができたからです。

人がここまで繁栄できたのは、医薬品があったからなのです。

 

医薬品を否定するのは、現代の医療や科学の発展を否定することと同義です。

 

人の繁栄の歴史を否定し、

過去に病気で苦しんだ方達の思いや、それをなくそうとした方々の思いを否定し、

自分が生まれた現代社会をも否定し、

 

そこまでして自然由来信仰したいのであれば、

アマゾンの奥地で頑張って生きてください。

と言いたい。

 

 

 

まとめ

さて、途中から怒りのあまり、筆が全力疾走しましたが、私が言いたいことは下記に集約されます。

 

言いたいこと! 

漢方薬は有用です

でも漢方薬には副作用があります。

自然由来だろうが何だろうが副作用はあります。

  

ケンカしないで、西洋医学も東洋医学も、お互いを尊重しましょ

正直なところ、意味不明な自然由来信仰に漢方薬を巻き込んでほしくない。

西洋医学も東洋医学も仲良くして、人々の健康に寄与してほしいですね!

 

 

※当ブログにおける見解は個人的見解であり、所属する企業の見解ではございません。また特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。