るなの株と医療ニュースメモ

株や医薬品関連ニュースに一歩踏み込みます!

アメリカの公的/民間保険制度に見る、薬価と使用できる医薬品の差

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また壮大で重いタイトルをつけてしまいました。

中身はそんなに重くないので、まだ帰らないで!

今日は日本とアメリカの保険制度の違いから話を広げてみたいと思います。

今日はアメリカの記念日だし。

 

日本は国民皆保険制度であり、基本的には上市された医薬品は保険適応されます。

そして一定以上の自己負担以上は税金で支払われます。

つまり超高額の最先端の医薬品も安価で使用することができるのです。

それは「日本国民は高い水準の医療をおしべなく受けることができる」ということです。

 

日本にいるとこの恵まれた医療環境が当たり前のように思えますが、世界的に見るとそう多くはありません。

例えば、アメリカ。

 

アメリカは国民皆保険制度ではありません

よくハワイで出産したら数千万円請求されたとか、海外旅行中に病院にかかったら、とんでもない金額の請求があったなんて話を聞きますね。

 

正確に言うと公的保険制度はありますが、全てをカバーしていないということになります。

今日はアメリカの医療保険制度をちょっと覗いてみて、アメリカにおける薬価や使われる医薬品の違い、アメリカ市場の有用性について考察してみましょう。

 

目次

 

 

アメリカの公的保険制度

アメリカの公的保険制度は2種類あります。

 

メディケア(Medicare)

65歳以上の高齢者、65歳未満の身体障害者および透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ人を対象とした制度です。

連邦政府が運営しています。

2018年時点では加入者は約18%※です

 

メディケイド(Medicaid)

低所得者を対象とした制度です。

州政府が運営しています。

2018年時点では加入者は同様に約18%※です

 

上記を見るとわかる通り、公的保険では到底全てをカバーしきれていません

つまり公的保険に入れない方は、別途民間保険でカバーしているのです。

その割合は2018年時点では約67%になります。(公的保険と重複もある)

なお未加入は約9%です。

※Health Insurance Coverage in the United States:2018より

 

日本の国民皆保険制度と比べると、だいぶ異なる状況であることが分かるかと思います。

 

まぁ保険はいらなくてもよくない?

なんて思う方がおられるかもしれません。

日本の民間保険と同じで考えてはいけません

日本は国民皆保険の上で、さらに追加で民間保険を選択しているわけです。

 

例えば、ニューヨークで盲腸の治療を受けるといくらかかると思いますか?

入院1日で100万円以上かかります。

 

歯の治療を受けるといくらかかると思いますか?

1本10万円以上かかります。

 

つまり無保険という状態は非常にリスキーな状態であるわけです。

そのため、公的保険を受けられず、特別な事情がない限りは民間保険に加入することになります。

(お金がなくて保険に入れない層もいます。)

 

アメリカの民間保険制度

私の知る範囲で大きく分けて4つあります。

まずは保険のランクで異なる点を見てみます。

 

保険ランクによる大まかな違い

主治医:ランクが低い保険は主治医を選んでその主治医にかかる必要があります。

医療機関:ランクが低い保険は特定の医療機関にかかる必要があります。

医薬品:ランクが低い保険では使える薬に制限があります。

 

ではハイレベルな保険から見ていきましょう。

ハイレベル程、当然保険料は割高になりますが、利便性は上がり、使える薬の選択肢も増えていきます。

 

Indemnnity

最高ランクであり、主治医や医療機関に制限はありません

日本の保険制度とあまり変わらないイメージでしょうか。

 

PPO

主治医の決定が不要で、保険給付対象となる医療機関にも制限ありません

ただし特定のネットワーク内の医療機関であれば、割引が受けられます。

ネットワーク外だと高くなるとも言えます。)

 

POS

主治医の決定が必要で、基本的には特定の医療機関への受診が必要です。

 

HMO

主治医の決定が必要で、特定の医療機関への受診が「必須」です。

その医療機関以外では保険適応されません。

 

このようにランクによって、様々な制限がかかるのです。

 

 

 

民間保険のランクによる使える薬の格差

さて、今日はアメリカの医療保険制度について論じたいわけではありません。

私もそこまで詳しくありません。

面白いのはこの保険のランクによって使える薬に差があるのです。

 

例えば糖尿病のお薬で見てみましょう。

2型糖尿病と言えば、日本ではGLP-1作動薬やDPP-4阻害薬、SGLT-2阻害薬等が良く使われています。

いわゆる新しめのお薬ですね。

 

ところがアメリカではいまだビグアナイド系が主流で使われているのです。

ビグアナイド系の薬剤は古くて安いからです。

つまり言い換えると、ハイレベルの保険でないと、新しい薬を使うことができないのです。

 

最先端の薬に容易にアクセスできる日本の医療環境がいかに恵まれているか分かりますね。

よく留学したり、海外旅行に行って、日本を貶めるような発言をされる方がおりますが、優れているところもたくさんあると思います。

もっともこの制度を維持できるかは、かなり怪しいところに来ていると言わざるを得ませんが。

 

ともあれ、保険によって使える医薬品のランクに違いがあるということが分かっていただけたかと思います。

もちろん先発品や後発品によるランクの違いもあります。

ランクが低いと後発品しか使えないわけですね。

 

日本の生活保護の医療費が問題になったことがありますね。

生活保護者に後発品を割り当てるなんて言ったら、どこそこが怒ったとかなんとか。

この問題には言及しませんが、思うところはたくさんあります。

 

薬価の付け方と市場の大きさ

さてではアメリカにおける薬価は日本と比較してどうなのでしょうか?

 

アメリカにおける薬価は総じて日本より高いです。

そして世界最大の医薬品市場です。

 

なぜ高くつくかご存知ですか?

それは製薬会社が自由に決められるからです!

製薬会社が自社の新薬の有効性や安全性、画期性、市場での競合品等を勘案して、自由に薬価を決めてしまえるのです!

いかにもアメリカンですね(偏見)

 

じゃあ、あの薬はいくらなの?と聞かれると答えに困ります

医薬品の実勢価格はブラックボックスなのです。

民間セクターにおける価格の指標となる数値はありますが、必ずしもその価格で取引が行われているわけではありません。

ただ、少なくとも言えることはアメリカは最大の市場であり、薬価を自由につけられ、とても儲かる市場だということです。

 

アメリカは公的保険による高額医薬品のカバーはありません

しかし裏を返せば、どんどん高額医薬品を承認しても、財政に与える影響がないとも言えます。

日本のように急に裏技(特定市場拡大再算定制度とか)を繰り出して、むりやり薬価を下げるような暴挙に出る必要がないということです。

参考: オプジーボ、夢の薬か金喰い虫か、高い薬価の変遷と特例市場拡大再算定制度(小野薬品:4528)

これは利点と言えるでしょう。

 

どちらの制度がよいかと言われれば、私は日本の制度のほうが安心できますね。

・・・ちゃんと維持できればね。

 

いずれにしてもアメリカ市場というのは我々にとって、重要な市場となるということです。

足を引っ張る日本の薬価制度にキレて、日本市場を撤退すると豪語する外資系企業の言い分も分かります。

・参考:日本の薬価制度

新医薬品の価格はどうやって決まるの?薬価算定制度における3つの道筋 - るなの株と医療ニュースメモ

日本は日本で甘いところもあってやりやすいところもあるけど、ごにょごにょ。

 

 

まとめ

今日はアメリカと日本の保険制度を比較しつつ、アメリカにおける薬価や使える薬の格差について考えてきました。

ちょっと毛色の異なる内容でしたが、視野を広げて日本の制度について考える良い機会となりましたら幸いです。 

 

・・・そしてみなさん!海外旅行に行くときは必ず保険に入りましょうねー!

 

 

※当ブログにおける見解は個人的見解であり、所属する企業の見解ではございません。また特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。