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あの後どうなったの?先駆け審査指定医薬品のその後①(第4回:2019年)(TAK-925:武田薬品工業)

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先日、先駆け審査指定制度とゾフルーザのお話をさせて頂きました。

この先駆け審査指定制度に指定された医薬品のその後の開発状況について、何個かご紹介したいと思います。

 

2019年に指定された医薬品は5種類です(再生医療製品は別途2種類指定)

・Valemetostat(第一三共):再発又は難治性の末梢性T 細胞リンパ腫

・イキサゾミブクエン酸エステル(武田薬品工業):AL アミロイドーシス

・TAK-925(武田薬品工業):ナルコレプシー

・ASP-1929(楽天メディカルジャパン):頭頸部癌

・E7090(エーザイ):FGFR2 融合遺伝子を有する切除不能な胆道癌

有名製薬会社に挟まれた楽天メディカルジャパンが気になるところですが、それは後日に置いておいて、今日はその中からTAK-925(武田薬品工業:4502)についてご紹介させて頂きますね。

 

武田薬品工業のTAK-925はナルコレプシーを対象とした医薬品候補化合物ですね。

みなさんはナルコレプシーってご存知ですか?

 

私、この言葉を覚えたのは金田一少年の事件簿の小説の中でした。

航海士の方がナルコレプシーで悩んでいた、というような感じだったと思います。

最後に「海は広いな、大きいな」の3番(海にお船を浮かばせて~)が好きといっていた犯人が印象的でしたね。

私も3番が好きです。

話が飛びましたが、まずはナルコレプシーについて見ていきましょう。

 

ナルコレプシーの概要

ナルコレプシーは簡単に言うと、「日中突然強い眠気に見舞われて、急に眠ってしまう疾患」です。一般人口における有病率は0.02-0.04%程度と非常に希少な疾患ですが、慢性疾患であり、根治的な治療方法はなく、なるべく正常な状態に近づけて保つことが治療の目標となります。

治療方法としては、中枢神経刺激薬の投与(目覚めさせる)、抗うつ薬の投与(レム睡眠の制御)、睡眠薬の投与(夜間睡眠の安定)が柱です。

詳しくは日本睡眠学会の出している「ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン」等をご参照ください。

 

 

TAK-925について

さて、このナルコレプシーの治療薬として開発が進められている化合物が武田薬品工業のTAK-925です。

この化合物の作用機序はオレキシン2受容体の選択的作動薬になります。

オレキシンのお話はエーザイの新規睡眠薬デエビゴの記事でご説明させて頂きました。

デエビゴはオレキシン受容体の拮抗薬(受容体をブロックする)ですので「睡眠薬」であり、TAK-925はオレキシン受容体作動薬(受容体を刺激する)ですので「目覚めさせる方向のお薬」ということが、わかるかと思います。

参考:デエビゴ

現在第1相試験が終了して、プラセボと比較して夜間の覚醒の延長や安全性、忍容性、薬物動態等が問題ないことが確認されております。

この第1相試験は健常成人ではなく、実際のナルコレプシーの患者さんにご参加いただいています。通常の第1相試験では健常成人から始めますが、このようなケースも存在します。

分かりやすい例でいえば、抗がん剤の第1相試験を行うとき、副作用の強い抗がん剤を健常成人に投与するわけにはいかない、ということをイメージされるとよいのではないかと思います。

被験者の安全性は治験において何よりも優先される事項ということですね。

 

まとめ

現状、順調に進んでいるようで何よりです。

ナルコレプシーのような希少な疾患に対する治療のニーズはアンメットメディカルニーズと言われます。

このような疾患を対象とした医薬品は競合薬は少ないですが、患者数が少ないため、基本的に採算は良くありません。つまり売り上げや業績に与える影響は限定的ということです。

一部、ブロックバスタークラスに育つのでは?といった論調もありますが、対象患者数を考慮すると、そこまでのポテンシャルがあるかは、少々疑問の残るところです。対象疾患を広げられるのであれば話は別ですが。

素晴らしい薬が素晴らしい売り上げを残すとは限らないのです。

 

しかし、売り上げにかかわらず、アンメットメディカルニーズを満たす医薬品を世に出すことは、製薬会社の使命の一つであり、名実ともに世界的企業となった武田さんには、ぜひとも力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

武田さん頑張って!

 

・その2はこちら

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