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バイオ医薬品の後発品、バイオシミラーについて考えてみよう!(概要/特徴/課題)

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ジェネリック医薬品や後発医薬品といった言葉は聞いたことがある方が多いのではないかと思います。

医薬品の特許期間が切れた後に出てくる安価な医薬品ですね。

 

ジェネリック医薬品は有名かと思いますが、一方でバイオシミラーについては聞いたことがない方も多いのではないでしょうか?

今日はそんなバイオシミラーの概要やジェネリック医薬品との違い、普及にあたっての課題について、考えていきたいと思います。

 

 

 

バイオシミラーってなに?

先発医薬品の特許が切れた後に生えてくる雨後のたけのこ・・・ではなく、切れた特許を利用して販売される医薬品をジェネリック医薬品と言います。

この先発品がバイオ医薬品である場合の後発品をバイオシミラーと言います。

 

英語では「Bio similar:似ているもの」です。

この似ているという表現、実に的確です。

厳密には「同一」ではないのです。

 

それについて考えるためには、まずバイオ医薬品とはなんであるかを見ていく必要があります。

バイオ医薬品の厳密な定義はどこでされるか分かりませんが、一般的には次のようなものと考えられます。 

バイオ医薬品とは?

遺伝子組み換えや細胞培養といったバイオテクノロジーを駆使して作成された医薬品

 

特徴としては、「高分子」である点や「生物由来の材料を用いるため、完全に同一のものの作成が難しい」といった点が挙げられると思います。

例えば抗体医薬品などがバイオ医薬品に該当しますね。

 

バイオシミラーは「似ている」であって、「同一のものではない」と述べました。

そうです。

バイオ医薬品は同一のものを作るのは困難なのです。

 

バイオ医薬品は複雑な高分子構造を持ち、そもそも同じものを作るのが難しいのです。

もちろん先発品は同じラインで厳密なる管理の下で、可能な限り同一のものを作成することができます。

しかしバイオシミラーはそのラインを使って作成するわけではありません

 

例えばある細菌株を活用して、抗体医薬品を作成する場合、バイオシミラーは全く同じ株を用いて、全く同じように医薬品を作成することができないのです。

 

通常のジェネリックであれば、合成方法をまねれば、原材料の質や添加物に差はあれど、成分としては同一のものができますが、バイオシミラーはそうはいかないのです。

 

この部分に着目して、バイオシミラーにはジェネリック医薬品では不要な臨床試験を別途実施しなければならないという規定があります。

 

必要な臨床試験

さてバイオシミラーの概要やジェネリック医薬品の違いについて、ある程度ご理解頂けたかと思います。

次は前項で挙げた臨床試験の違いについて見ていきましょう。

 

ジェネリック医薬品は承認を得るために「生物学的同等性試験」が必要になります。

要は先発品と比較して、同一の挙動を示すか見ましょうということです。

もう少し詳しく述べると、薬物動態を確認して、先発品と同等であればよいのです。

 

添加物などが異なるため、厳密に全く同じ薬ということはできませんが、生物学的同等性が確認できれば、ジェネリック医薬品は先発医薬品と「ほぼ」同じということができます。

(私は嫌いなので使いませんが・・・)

 

対してバイオシミラーは生物学的同等性試験ではなく、別途「有効性・安全性を確認する試験」が必要となるのです!

普通の薬と同じように試験をしないといけないわけです。

だって、似ているだけで別物ですからね?

 

データや試験の位置づけについては、下の図が概念図としては分かりやすいかなと思います。

 

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日本バイオシミラー協議会のホームページから引用

 

 

バイオシミラーの課題

バイオ医薬品はその製造コストや開発経費から、非常に高額の医薬品です。

つまりバイオシミラーにすることで、医療費の大幅な削減が見込まれるわけです。

その点は非常に意義があると言えます。

(我々にとっては複雑な気持ちですが・・・)

 

そんなバイオシミラーの抱える課題について、私見交えてまとめてみました

 

コストの問題

前述のとおり、バイオシミラーにはそれなりに多くの臨床試験が必要になります。

つまり多大な開発コストがかかります

 

バイオシミラーは生物由来の材料を用いて作成が必要になります。

先発品と同等のレベルの特別な生産ラインが必要になるのです。

初期投資も必要になりますね。

つまり生産コストの劇的な低下は期待できません

 

同等性の問題

バイオシミラーは「似ている」のであって、「同一ではない」のです。

臨床試験をしていたとしても、先発品と同じものではないのです。

この違いは使用するDr.にとっては結構な問題となるケースが多いです。

 

これまで先発品で治療していた患者をバイオシミラーに切り替えるのは、なかなか勇気がいります。

切り替えたことで状態が悪化するケースも当然あります

コストがそこまで変わらないのに、あえてバイオシミラーを選択するのは難しいのです。

 

採用品の問題

バイオ医薬品は注射剤が多く、院内で打つので、院内の採用品の問題もあります。

ジェネリックは処方箋に書けば、薬局に行けば取り寄せてもらえますが、バイオシミラーは院内で採用されていなければ使いたくとも使いようがありません

だって使いたくても、手元になかったら使えませんもの。

 

患者負担の問題

高額療養費制度はご存知でしょうか?

ここでは詳細を述べることは控えさせていただきますが、要はある程度以上の医療費は国が払ってくれるのです。

抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品は、高価格です。

つまりこの高額療養費制度を活用しているケースが多いのです。

バイオシミラーでちょっと安くなったからといって、患者さんの自己負担が変わらない可能性もあります。

 

さて、みなさま。

自己負担が変わらないのに、完全に同じものではなく、もしかしたら効果が落ちるかもしれない薬を使いませんか?と言われて、

国の医療費のために協力します!と言えますか?

私はそんなに高潔ではありません。

 

こんな風にバイオシミラーにはジェネリック医薬品よりも使うのに躊躇する理由があるのです。

これがバイオシミラー普及の障壁となっています。

 

 

まとめ

今日はバイオシミラーについて考えてみました。

膨れ上がる医療費を少しでも削減するためには、バイオシミラーの普及が必要なことかもしれません。

しかし普及には数々のハードルがあり、簡単にはいかないが現状です。

みなさまはバイオシミラーの意義について、どう考えられますか?

利点を見出して使用してみたいと思いますか?

これはなかなか難しい問題だと思います。

 

患者目線に立った時、バイオシミラーの必要性について、明確に説明できなければ、使いたいと思える人が出てこないかもしれませんね。

そのため、ある種、強制力をもってバイオシミラーを使わせようという動きもあります。

マイナーなことかもしれませんが、私はもう少しバイオシミラーが一般に知れ渡って、議論になるといいなーと思います。

 

参考

日本で承認されているバイオシミラー一覧 | 日本バイオシミラー協議会

 

 

※当ブログにおける見解は個人的見解であり、所属する企業の見解ではございません。また特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。