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ボトックス(ボツリヌス毒素)、もとは毒素なのに大活躍!過活動膀胱等に追加適応(GSK)

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ボツリヌス菌ってご存知ですか?

1895年にベルギーでソーセージによる食中毒事件があり、原因菌として特定されました。ソーセージはラテン語で「ボツルス」と呼ばれることから、ボツリヌス菌という名前がつけられました。この菌の生成する毒素は神経毒であり、筋肉を麻痺させます。

 

毒も使い方によっては薬になる:ボトックス

そのボツリヌス毒素を逆に利用した医薬品がボトックスです。

ボツリヌス毒素は筋肉を麻痺させます。つまり簡単に言えば、無駄に動いている筋肉(緊張している筋肉)をほぐすことができるということです。そのため適応の多くは「痙攣(けいれん)」となっています。

例えばまぶたがピクピク動いてしまったり、眼が開けられなくなってしまう「眼瞼痙攣」や顔の片側の筋肉が勝手に動いてしまう「片側顔面痙攣」、脳卒中や外傷による運動障害の一種である「上肢痙縮」等になります。ボトックスを投与することで、これらの無駄な筋肉の緊張をほぐすことができるのです。

またボトックスには交感神経節後ニューロンの神経終末から汗腺への情報伝達を阻害することによる「発汗抑制作用」もあり、重度の原発性腋窩多汗症における過剰な発汗の抑制作用も有しております。

 

 

過活動膀胱/神経因性膀胱に追加適応取得

先月グラクソ・スミスクライン(GSK)がボトックスの「過活動膀胱・神経因性膀胱」に対する追加適応を取得したと発表しました。医学会からも追加適応の取得を要望されており、今回それがかなった形です。

過活動膀胱は文字通り膀胱の活動が活発になり(コントロールできなくなり)、急な尿意が生じる疾患です。OABとも呼ばれますね。

神経因性膀胱は種類が色々ありますが、要は膀胱そのものというよりかは神経に原因がある排尿障害と考えてよいかと思います。

今回の適応は下記のとおりです。

「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」

「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」

これまでも過活動膀胱や神経因性膀胱に対する治療薬はありましたが、治療抵抗性や治療が難しい方に対しての適応を持つ薬剤が増えたことは、患者さんにとってメリットのあることだと思います。なお売り上げとしては限定的な適応ということを考えても現時点では大きくないと考えられます。

 

美容でも活用(ただし保険適応外)

医薬品として活躍しているボトックスですが、実は保険適応外で美容にも活用されています。表情を作る筋肉の働きを緩めることで、目じりや眉間のしわ等、表情のしわ取りの作用があります。こちらについてはGSKではなく、別の製薬会社のアラガンがボトックスビスタという商品名で販売しております。

 

まとめ

今回新たな適応を追加したボトックスについて簡単にまとめてみました

このように毒をお薬にするなんて、なかなか冴えたやり方だと思いませんか?

ちなみにボトックスにはボツリヌス菌は含まれておりません。あくまで毒素を有効活用したお薬です。ですので、ボトックスを投与したからといって、体内に菌が入ったり、増えたりはしませんのでご安心ください(。・∀・。)ノシ

GSKは大変大きな会社で様々な医薬品を開発していますが、このようにニッチな部分にも対応していくことはとても良いことだと思います。市場規模が小さくても患者さんのためになるような薬剤を世に出していって頂きたいですね!